「うう寒い」 寒空の下で吸う煙草は抜群に旨い。 とか何とか云いながら寂しがる片手を衣嚢に突っ込む上司、それもわたしの外套だ、彼はくの字に曲げた痩躯を小刻みに揺らし、「いや一寸あのそこわたしのホッカイロとハンカチが」確かに呈した筈の苦言にも上…
照れくさいけど、言葉にするのは苦手なので、字で貴方に伝えます。 この手紙を貴方が見る時、きっと私はこの世にいないと思う、なんてことは言いたくない。 貴方の側にいない、と書いた方が合ってるかな。 悲しくなんかない。だって貴方の側には沢山の家族が…
消えてしまった。消えてしまったんだ。あんなに綺麗な世界だったのに。何故、宇宙はこんなにも無慈悲なのだろう。何故、世界はこんなにも残酷なのだろう。生きとし、世界を幾度となく壊していたのは紛れもない私たちだが。本当、嫌になる。あの戦い、「フォ…
「あなた、いつも此処にいますね」 ある一人の男の子に話しかけられた。 珍しい。私が此処にいたって、誰も話しかけてくれないのに。 誰だろうと思い、読みかけていた本から目を話し話しかけた男の子を見る。 見る、と言うよりかは向くだ。 「なんで目を瞑っ…
暗い、光も届かない。 そう、ここは深海の底。 あぁ、なんで僕は此処にいるのだろう。 さっきまでは、地面に足を着いていた。 でも。 今は。 こんな。 誰もいない暗闇に独り、沈んだ。 まだ生きたかったのに。 伝えたい事が沢山あったのに。 あの人を、お兄…
私は当たり前のことが嫌い。 皆から『気持ち悪い』の連呼。 そんな当たり前の毎日が大嫌い。 そうやってまた明日も、ヘラヘラ笑って生きて行くのが、私の当たり前。 私は当たり前のことが好き。 皆から『ありがとう』の連呼。 そんな当たり前の毎日が大好き…
何を、思っているんだろう。 彼は、あれを見ても何も思わないのか。 血も涙もない人だ。 昔からそうだったろうに。 今更何を言うの。 「あれ」 「何」 「いや…、なんでもない…」 「ふぅん。早く行かないと授業遅れるよ」 「あ、そうだった」 『僕って二人も…
「わぁー!見てみてお兄ちゃん!奇麗な花火が上がってるよ!!」 いつの事だろう。 「本当だ!日本は花火で見る花火は違うなぁ」 久しぶりに幼い頃の夢を見ていた。 「また家族で来れたらいいね!」 本当に、懐かしい。 「来れるよ!絶対に!」 いつでも「ま…
「あ、涼しいや」 今日もまた外に出る。 それが私の日課にっている。 だって、病院の中じゃ何もする事がない。 暇なんだよ。 そんな感じで今日も外に出ると、暑い日は過ぎて、そよ風が吹く秋がもうそこに来ていた。 「…もう、夏も終わりだなぁ。来年も生きて…
「あ…。また夏が過ぎる…」 この世界に来て一体夏がどれだけ過ぎただろう。 また明日も、こんな世界の朝を見るのだろうか。 また明日も、こんな世界の夜を見るのだろうか。 そう思うと、胸の中に「楽しみ」という感情が溢れる。 「さぁ、もう寝よう。明日も皆…
ありがとう。 私の大好きな言葉。 私の大好きな友だちにありがとう。 私の大好きな家族にありがとう。 そしてこんな私と付き合ってくれている大切な人にありがとう。 言い切れないありがとうが沢山あるや。 まだまだこれからも迷惑かけるかもしれないけど、 …